Truyen2U.Top - Tên miền mới của Truyen2U.Net. Hãy sử dụng ứng dụng 1.1.1.1 để đọc truyện nhé!

[R18][SakaUra] どうかしてるふたり

Author: パトリオット

Link: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20797472

------------------------------

♣︎

三十路と呼ばれる年齢に差し掛かってから、早数年。

体調や見た目に気を遣う必要性が跳ね上がったのは勿論のこと......若気の至りとかいう言葉が通用しなくなった今、求められるのは『思慮深さ』なのではないかと思っている。
オトナとしての振る舞い方。
オトナとしての、落ち着いた責任感のある行動。
これらを養うことが、30代の俺たちにとっていかに重要であるか。

......それを今、痛感しているところだ。

「......うらさん」
「......おう」
「............ほんまに、ゴメンな」
「...お前だけのせいじゃねぇよ。俺も、あの時は本気だったし」

夜中まで二人っきりで打ち上げしてたのが良くなかった。
坂田が半分酒が入った状態だったのが良くなかった。
お互いライブ明けで疲れ果て変なテンションだったのが、まじで良くなかった。

「......さて、と...」
「......これ、どーうしますかねぇ...」

眼前に広がるのは、遠い記憶を呼び起こすような、清潔感のある空間だ。
薄緑色の遮光カーテンで囲まれた白いベッド。
簡易的な事務イスと机。薬や包帯などの道具がたくさん入った棚。ご丁寧に壁に貼られたほけんだより。
学校の『保健室』を模した部屋であることは、一目瞭然。
そして、その世界観をぶち壊すような......入口に呆然と立ち尽くす、くたびれた成人男性2人。
俺の隣に立つ男の手元には、これまた世界観をぶち壊す配色をした、ピンクのカードキーが握られていた。

「......うーん。すごいなぁ、現代の技術は!」
「...あー、うん。それな」

うらたぬき、33歳
となりの坂田、31歳
時刻は、夜11時17分。

恋人同士である俺たちは今、ツーマンライブ後のノリと勢いだけでその門を叩き

イメージプレイ専門の、ラブホテルの一室にいた。

どうかしてるふたり

「......こういうとこってさぁ、コスプレイヤーの人とかが使うこともあるんやろなぁ」

坂田が、感慨深げに呟いた。
周りを見渡してみると、確かにドラマのセットみたいに精巧だ。

「だろうな。すごい作り込まれたセットみたいだもん」
「なんか、エッチするの勿体ないなぁ」
「お? やめるか?」
「いやぁでも勿体無...うわ見てこれ! めっちゃ医療用品みたいなコンドームあったwww」
「えっ、見して見して」

こうなったら金払う以上楽しんでやろうと開き直った俺たちは、二人で部屋の中を物色している。
某感染症対策かもしれないが、保健室特有の消毒液みたいな匂いまでするのがやたらリアルだ。
ちなみに保健室のイメージルームになったのは、受付にあったタッチパネルを目を瞑りながら適当にタッチした結果である。
......もうここまで来たら誰かに笑って欲しい。頼む。笑ってくれ。

「......あ、ねぇ、これもみてうらさん。ルームサービスでコスチューム販売やってるって」
「うわまじじゃん。買うか」
「え、なに? 急にノリノリやんおもろ」
「だって、こんなとこなかなか来ないし」

先生用のテーブルにあったのは、料金プランとルームサービスが書いてある冊子だった。
さすがイメージプレイ専門なだけあって、やたらと手の込んだ大人の玩具やコスプレ衣装の販売をおこなっているらしい。
白衣に、制服に...なんだこれ、スクール水着とか保健室関係ねぇだろ。

「んふふふ、なんか俺テンション上がってきた」
「......まじ疲れてるからこのまま寝た方がいいのはわかってんだけどな。なんかただ寝て帰るのも腹立つしな」
「えー、ほんまに珍しくノリノリなうらさんや。どしたの今日は」
「わかんね。酔ってる多分」
「ふふ、あんた飲んでないやん」
「ふふふ」

普段だったら絶対こんなテンションにならないけど、何故か今の俺はかなりノリノリな自覚があった。
だって、楽しかったんだもんライブ。
もしかしたら、俺まだ興奮してんのかもしれない。なんか恥ずかしいなそれ。

「ほら、お前先生と生徒どっちやりたい?」
「え、ほんまに買うん!?」
「っふふ、うんw なに、やなの?」
「うわ、きっっつゥ...いくつよ俺たち」
「ねぇ、いいじゃん。衣装とかで着たけどさ、こんなんなかなかないじゃん。俺金出すし」
「嫌やわそんなん。パパ活か。
...そんなら俺も出すわ。じゃあもう、お互い着てほしいやつ選ぼ」
「お、いいじゃん。なんでもいいんでしょ?」
「......一応確認やけど、男用よ?」
「ちっ」
「うわこの人こわw なんでそんな急にえろおじになってんの」
「......ふふ」

変なの。ラブホに居るのに、全然そんな感じじゃない。
修学旅行みたいなかんじ。男同士で馬鹿やって、はしゃいで、そんな友達みたいな雰囲気が、恋人になっても続いているのが嬉しい。

「俺決めたで!」
「よし俺も決めたわ」
「じゃあ、お互い衣装届くまでお楽しみにしよや」
「いいよ。じゃあお前先頼めよ」
「おけい! んふふ、楽しみやなぁ。うらさんが俺に着せたい衣装かぁ」

ノリと勢いできてしまった変なラブホだけど、こいつといるとなかなか楽しめそうだ。
友達の延長線上みたいな、ラフで、楽しくて、温かい関係性。
こういうとき、付き合ってるのがこいつで良かったなぁなんて、少し恥ずかしいことを考えたりもする。

「あっ! なあなあ、フライドポテト食べる? さっき買うてん。セブンで」
「............あ、うん」

......前言撤回。
ラブホに来た時くらいは、もう少しムードが出るような恋人でも良かったかもしれない。

――――――

「おおおお〜!!! んふふ、似合っとるやんうらさん!」
「......嬉しくねぇ〜」

坂田が俺に選んだ衣装。それは、黒の学ランだった。
こいつのことだからもっと恥ずかしいやつ選ぶかと思ったけど、意外と良心的だ。着たことあるし。

「鬼殺隊の服きてた時も思ったけど、やっぱなんかええな。うらさんが若返ったみたい。可愛い」
「......いや、別に顔は老けたまんまだからいうてキツイだろ」
「え? 全然違和感ないけど」
「...............俺お前のそゆとこきらい」
「えええ〜!? なんでよ!」

そういう坂田は、俺が選んだ理科の先生みたいな格好をしている。白衣に赤いネクタイ、そしてワイシャツとスラックス。
単体で見ると研究所の助手みたいな感じだけど、なんだかこうして保健室とセットで見たら、保健室の先生に見える。養護教諭、ってやつだろうか。実際白衣着てる人はみたことないけど。

「ねえねえ、俺は? 先生っぽい?」
「......お前と先生って単語が俺の中で永遠に結びつかないからなんとも言えない」
「ひっどぉ!?」
「...あー、まあでも、お前白似合うよね。イノコリ先生歌ったし」
「お、おう、落としてから雑に上げるやん。ありがとうな?」

先生らしいかは置いておいて、似合ってるとは思う。
なんか、ネクタイ締めてるの見ると変な感じだ。
......ちょっとかっこいいかも。絶対に、言ってやんないけど。

「......で、これでどうする?」
「......よぉし、帰るかぁ!」
「っふふ、これで? ここまでやって?w」
「っうん、このまま帰るw」
「高レベルの変態やなぁ俺ら...」

少し固めの清潔感のあるベッドに並んで座る。
こんなふざけた状況でも、二人でベッドに並ぶとなぜだか少し脈が不安定になってくる。ああ、本当に人間というのは不可解な生き物だ。
坂田の白衣に包まれた腕が、そっと俺の肩を抱いた。
......いつもの、「始める」合図だ。

「......んー」
「......なんだよ」
「や、今から言うことをどうやって言うたら怒られないか考えてる」
「...............」
「あ、やめて無言で圧かけないで。痛い痛い痛い!」

絶対ろくでもないこと考えてるなコイツ。
ぎゅうっと抓ってやった脇腹を擦りながら、坂田は俺の全身を眺めて機嫌良さそうに笑った。

「こうして見てると、ほんまにヤンチャな高校生とかそのくらいの歳に見えるわ」
「目大丈夫か」
「んふふ、うらさん顔可愛いから」
「ハイハイ、お世辞ありがとうございます」
「もおぉ、ひねくれとるなぁあんた」
「ちょっ......!」

坂田の腕が身体の両側に回って、抱き込まれるようにしてそのままベッドに倒れた。
いつもの坂田の匂いと、新品の衣類の少しビニール臭い匂い。
突然二つの匂いに包まれて、腕で固定されて、身動きが取れなくなる。

「......ねぇ、うらさん」
「っ、なんだよ...」

内緒話のような、控えめなトーン。
耳に直接注がれる低く作られた声に、身体が跳ねてしまうようになったのは、いつ頃からだったろう。

「ふふ、かぁわいい。なんかマジで未成年に手出してるみたいで恥ずかしくなってきた」
「......ほんと、変なやつ」
「えー、でもうらさんもこんなにドキドキしてるのに」
「...してない」
「してるってぇ」

ちゅ、ちゅ、と耳元に控えめに寄せられた唇が、いつもの雰囲気に持っていくように、湿度を増していく。
俺は、口から期待の籠った声を漏らさないように、必死に目の前のネクタイが締められた胸元にすがりついた。
ああ、本当に、ネクタイ締めてる姿なんて、いつぶりに見ただろうか。
さっきからドキドキしてるの、全部伝わってるんだ。
恥ずかしい。早く、わけわかんなくしてくれたらいいのに。

「なぁ、うらさん」
「......ッ、なに...」

「俺の事、先生って呼んでみて?」

坂田の「そういう雰囲気」だった声は、いつの間にか悪戯っぽい笑いを含んだ声に変化していた。
思わず顔を上げると、口の端をぷるぷるさせている、見慣れた男のにやけ面。

「............」
「ッあはァwwwwww いたァい!」

無言で制裁を加えた俺は、多分悪くないと思う。

ーーーーーーーーーーーー

❤︎

「ッぁ〜〜!! ゆるして! ゆるしてぇ!」
「ってめ、おら、オラァ!」
「イヤァァァ! ごめんなさいw ごめんなさいっww」
「っの、カス、変態!! 童貞かテメェは!」
「ひぃいいいwww」

学ラン姿の恋人に馬乗りになられて、全力で脇の下を擽られながら罵られているコレは、プレイの一種になるんじゃないか。だとしたらかなり役得だなぁ。
そんなことを考えながら、必死にその愛のムチに耐えること数分。

「...はぁ......疲れた......」
「っふふ、はー...ぁー...。死ぬかと思ったァ......」
「俺も殺そうかと思った」

お互いはしゃぎ疲れて、息を切らしながらベッドの上で寝転がる。
まあ、怒られるだろうなとは思っていましたよ。ええ。
でもほら、今日のうらさんは珍しくノリノリでしたから。押せばイケるんじゃないかと思ったんですよ。

「おら」
「...ぐえ、」

うらさんは笑い疲れたテンションのままに俺に転がってぶつかってきた。
少しだけうつむき加減に、どこか困ったように俺の胸元に額を寄せている。
その表情は学生服も相まって、酷く幼く映った。

「...お前さぁ、ほんとに俺のこんなカッコに興奮してるわけ?」

...ほら、そうやってちょっと嬉しそうに俺に確認するところとか、狙ってるんじゃないのってくらいかわいい。
満更でもなさそうな顔せんでよ。折角ちょけて終わろうとしたのに、マジになっちゃうやんか。

「......正直、自分でも引くくらい興奮しとるんですけど」
「...変態。ほんと、わけわかんねえよおまえ」
「ね。30過ぎた男の恋人に、なんでこんな興奮するんだろって感じ」
「殺す。お前は本当に余計なことを言うな」
「あーもぉ! ずっと可愛いから、ほんまに困るって話!」
「...ふうん」

あ、嬉しそう。
表情は胸に押し付けられて見えないけど、ニヤニヤしてるんだろうなぁ。
そっと背中に手をやって、腕の中に閉じ込める。
ふわふわしたつむじに顔をうずめると、珍しくうらさんの汗の香りがした。
ああ、そういえば今日はライブの帰りだ。
何なら今日は、めちゃくちゃ、そりゃもうめちゃくちゃ可愛いからエッチしたいけども、このままかわいい格好のうらさんを抱っこして寝ちゃうのもアリかもしれない...

そんなふわふわした気分のままうらさんの抱き心地の良さを楽しんでいると、腕の中で大人しくしていた彼がもごもごと動き出した。

「......せぃ」
「...ん?」

彼にしては小さすぎる声。
うまく聞き取れなかったので、少しだけ身体を離してうらさんの顔を覗き込む。
白い陶器のような彼の肌は、薄っすらとピンク色に染まっていた。

「..................せん、せぃ」
「............っ、へ......」

形の綺麗なピンク色の唇が、その言葉を紡いだ。
自信なさげな瞳が、やけに煽情的に揺れている。

「......っう、うら、さん...」
「......先生、なんだろ。おまえ」
「え、いや......」
「っなに。俺にここまで言わせといて、お前は...」
「えええ、なに、今日ほんとどうしたん!?」
「......なんだよ。ノリ悪いな」

いや、いやいやいやいや、おかしい。絶対都合のいい夢だこれ。
だって、こんなの、普段どんなエッチなプレイも恥ずかしいって嫌がるのに。
普段と違う場所だから? ライブの後だから?

「...ねぇ、先生。先生は、俺のことなんて呼んでくれんの?」
「ぇ、ええと...」
「ふふ、お前、ほんとアドリブ弱いな」
「いや、だって、頭回ってへんもん...」
「ん、おれもまわってないよ。だから、こんなばかみたいなことしそうになってる」

ふぅ、と熱の篭ったため息が、胸元にかかった。
それだけで暴走しそうになる、単純な思考回路。

「ねぇ、先生」
「...ッ、」
「坂田先生」
「っもう、絶対明日、恥ずかしくなんで......!」
「お前もな。それは、いいんだよ」
「嫌がってたのにぃ!」
「あ? 冗談のつもりだったのか? 遊びだったの?」
「やだもう怖いこの人......って、ちょ......ッ!」

ギシ、と無機質なベッドが揺れた。
黒い薄っぺらい布を纏った両足が、俺の上に跨る。

「ねーぇ、せんせー。制服着た俺と、こうゆうことしたかったんだろ?」

やっと見えた顔は、真っ赤にとろんと溶けていて。
それなのに、どこか獰猛な笑みを浮かべていた。

「......坂田先生の、えっち」

どこか振り切れたように浮かべる笑みの妖艶さに、くらりと眩暈がする。

「.........なんて、」
「...ん、」
「なんて、呼ばれてた?」
「......先生に?」
「そう」
「......たかはし」
「...っ、フフ、そりゃそうやんな」

乗り上げられた悪戯な太腿を、安っぽい生地を確かめるように撫で上げた。
誘ってきたくせにぴくりと跳ねた身体が、いやらしくて、愛おしい。

「......高橋」
「...ッ、」
「先生の上に乗るなんて、いけない子だな」
「......っ、くく、ノリノリかよ」
「ん? 先生に向かってそんな口聞いていいのか?」
「あー、ごめんなさぁい。許して、せんせー」
「......このクソガキがぁ!」
「ギャァッ!?」

薄っぺらい腹筋に力を入れて、勢いよく起き上がれば形勢逆転。
押し倒して近くで見ると、やっぱり顔はいつも通り可愛くて、いつも通りの33歳のうらさん。
首から下は、白い肌によく映える黒の学ラン。
年齢詐称もいいところだ。おじさん達がこんなイメプレで盛り上がるなんて、ほんと笑えない。
安っぽいAVの方がまだ作り込まれてるような、滑稽なセックス。

「......っあ、さかた...?」

それで、こんなに、欲情するなんて

「......坂田先生、だろ? 高橋」

大概、頭のネジがいかれてる。
俺も、この人も。

真っ赤になって、ベッドの上に縫い付けられたように動かなくなったうらさんの元に、医療品みたいなコンドームを手に戻っていった。
所在なげに身体をもじもじさせるうらさんは、本当に幼く見えるから不思議だ。

「......脱がせるよ」
「...ッ、せ、先生がこんなことしていいんすかぁ?」
「えー? あー...ほら、身体検査せんと」
「くく、安物AV」
「...この不良生徒が。そこになおれぃ!」
「ひゃぁっ!」

うらさんの腰の上に乗って、がっしり身体を固定してやる。
金メッキの塗られたプラスチック製のボタンを一つ一つ外すと、清潔感のある白のワイシャツが顔を出した。

「駄目じゃないか。シャツのボタンは1番上まで留めないと」
「...せんせーは、保健の先生でしょ?
勝手に生徒指導なんかしていいんですか?」
「ほら、生徒の悩み事を聞いてやるのも養護教諭の仕事やから」
「...そうなの?」
「......って、養護の教員免許取ってた友達が言ってた」
「おい自我出してくんな、萎える」

やっぱりイマイチ締まらなくて、グダグダになりながらワイシャツのボタンも外していく。
黒いタンクトップが邪魔で、一気に捲りあげた。

「......っ、おま、びっくりするだろ...」
「いやぁ、ここもチェックせんとなぁ。ほら、敬語忘れてるぞ高橋」
「...高橋って言いたいだけだろお前...っ、ひぅ...」

可愛らしい顔からは想像つかないようなしっかりした腹筋に、ところどころピンクがかった白い肌。
その滑らかな筋肉に手を這わせると、ぴくん、と生理的な反応が返ってくる。

「なんだ、鍛えてるのか高橋。きみ何部やっけ?」
「......ボクシングでーす。せんせぇのことワンパンで倒せます」
「なにィ? せやったら腕使えらんようにせんとなぁ」

しゅる、とちょっとつっかかりながら赤いネクタイを外して、不安そうな、でも期待が籠った目で俺を見上げるうらさんに命じた。

「両手、頭の上に挙げて?」
「......っ、はぁ?」
「ほら、早くしなさい。」
「......お前、ほんと...ノリノリかよ」
「んふふ。満更でもないくせに」

うらさんが何だかいつもより素直なもんだから、俺だって調子に乗ってしまう。
ライブ効果か...?それなら毎週末ライブがあったらいいのに、なんてバカなことを考えた。男はこういう時死ぬほどIQが低くなるのである。
赤いネクタイが白い肌に映えるように、でもいつでも解けちゃうくらいには緩く、彼の両手をベッドのサイドボードに縛りつけた。
途端に湧き出してくる罪悪感と背徳感と嗜虐心は、俺のせいだけじゃない。
気まずそうに、恥ずかしそうに逸らされた切長の目が少し潤んでいるのが見えて、もう堪らなくなってつい意地悪をしてしまう。

「...ねえ、今日、お腹見せてたでしょ」 
「......え? ...まあ、出してたけど」
「いやぁ? ずいぶん簡単に出すんやなぁと思って」
「出すだろ、喜ぶし」
「へえ、喜ぶんなら出すんや。俺が喜ぶんでも出してくれるん? それ」
「............きっめぇ」

...思ったより死んだ目をされてしまった。
さすがにそろそろ怒られそうなので、やめておこう。

「...ん゛っん゛ん。まあ、今は俺が出してるんですけどね」
「よりきもいんですけど。坂田先生おじさんみたい」
「パパ活になってまうな、それ」
「なに、金くれんの?」
「そういうプレイがしたいなら払うけどぉ?
っていうか、『先生』やろ!? さっきから、敬語使ってってば! 声優やろあんた」
「...うるせえ。なんかやだおまえ」

反抗的な拗ねたような顔も、めくれ上がったワイシャツから目を背けるようにしているのがバレバレで、なんだかこっちが恥ずかしくなるくらいかわいい。
この人は俺をどうしたいんだ...と逆切れみたいな言い訳をしつつ、俺はうらさんのことをかわいがるのに集中することにした。
すべすべのおなかから上に進んでいくと、可愛らしいふたつのピン、と立った乳首にたどり着く。

「うわ、可愛い高橋くん。もうここ立ってる」
「っ...!」
「キモイキモイ言ってたけど、ちゃんと感じてるやん。ほんとスケベやなぁ~」
「ンっ...お前、ほんと、今日、なんかすっげぇおっさんなんだけど...!」
「お前じゃない。先生でしょ」
「ッ、まだ、言ってんのかよ...っぁ、」

そんなこと言って、期待してるの知ってるんだから。
潰すようにこねるより、うらさんはやさしく引っ掻かれるのが好き。
だから今日も、ちゃんと期待して切り揃えた指先で、撫でるより少し強く、いじめてあげる。

「ねぇ、実は直接より、ワイシャツの上からの方がきもちいんじゃない? やってみよっか」
「...ぅ、しなくて、いい...! っひゃ、」
「あ、ほら。擦れた方が気持ちいいやん。これで頑張ってみよ? いけちゃうかもよ」
「っやだ、まって、ぅッ...」
「......ふふ、もっと固くなってる。女の子みたい」
「......っ、それ、やめろ。比べられてるみたいで殺したくなる」
「こっ、言葉の綾です...! 可愛いってことです!」
「...ふん、先生なんじゃねぇの? 敬語使うなよ。
......ッ、ひ!」
「...ん、ゆるして? 高橋くん」

少しだけ温度の低くなった声を何とか温めようと、ワイシャツ越しに胸に舌を這わせた。
彼の薄茶色の可愛らしい乳首は、白いワイシャツ越しに存在を主張し続けている。
可愛いな。このまま、食べちゃいたいなんて言ったら、怖がらせるかな。

「っ、ねえもう、いいから...はやく、はやくしろよ」
「んー、何を?」
「わかってんだろ...!」
「先生にきく口とちゃうなぁ」
「...変態、しね。どうせろくでもないこと言わせようとしてんだろ」
「わかってんじゃない。なあ、言ってや」

うらさんの耳が、真っ赤に熱を帯びていく。
この人は俺が望む言葉を解ってる。だから、あと一押し。

「......ぃれろ、って、」
「入れろ? 先生に向かって随分な口調やなぁ」
「...っ、」
「ほれほれ、言うてみ」
「......チッ。...ねえ、坂田先生」

精一杯の作った声。
俺のことを少し馬鹿にするようなトーンが混じっているのも、もはや愛おしい。

「...もう、こっち、触って。...入れて」

ああもう、どうしよう。可愛い。
逸らされた目も、期待して赤くなった目尻も、全てが可愛い。

「はあぁぁぁあ......」
「...何だよ、今更萎えたとか言ってももうおせぇぞ」
「冗談やろ。もうバッキバキやわ。勘弁して」
「んだよ。さっさと突っ込めよ」
「口わっっるぅ」
「男子高校生のときなんてこんなもんだろ」
「......まあ、生意気な感じしてちょっとキたけど」
「歪みすぎ」
「あんたにだけやわ」

話しながら、ベッドサイドに用意したローションを適量手のひらにとる。
期待の籠った目線が、俺の手に注がれているのが感じられた。

「あ、うらさんのズボン脱がすの忘れてた。先にローション取っちゃった」
「馬鹿だろマジで」
「ごめんて。よいしょ、よいしょ。うらさん、腰あげて?」
「......ん」
「はい、ずるずるずる」
「え、ちょ、全部脱がせよ」

うらさんのスラックスを、足元まで下ろしたところで止めた。
この方が自由が効かない感じでエロいから、このまましたいんやけど、怒られるかなぁ。
なんて思いつつ、口から出まかせをつらつら述べる。

「片手ローションやから脱がせれらんもん。ねえ、良いでしょ?」
「ちょ、やだよ。オイ、嘘だろ...ッ! ぅひゃ、」
「はーい、触診するで〜」
「っああああもう...! ほんとやだお前......!」

うらさんの後ろは、久々なのもあってか慎ましやかにきゅっと閉じていた。
いつもだったら脚をもっと開いてもらうけど、今日はうらさんの両脚を右肩にのっけて、脚を閉じたまま触れていく。

「......まだキツい感じある?」
「...ッ、ぅ、」
「やらかくなるまで力抜いてて。今日はゆっくりするから大丈夫やで」
「......ぁ、あ、」
「...ちょっと、やらかくなってきたかな?」

脚を一纏めにされたまま抱かれた経験のないうらさんは、(あっても困るけど)手も足も自由を無くして、所在なげに目線を伏せている。
恥ずかしがっているけど、嫌がってはない。潤んだ瞳と紅潮した頬が全てを物語っていた。
ああ、隠せないようにしておいて良かった。

「っあ、や、待って、さかた...ッ、」
「んー? うらさん、ここ好きやろ?」
「ッぅ、だめ、あし閉じながらだと、なんか、へんッ...」
「ああ...いつも開いたままぴーんって足伸ばしていっちゃうもんな。いつもと違うの、怖い?」
「......こ、わ、くはない...けど」

意地っ張りめ。まあ、そう言うように誘導はしたけど。可愛いから意地悪しちゃった。

「...そう。せやったら、このまましようか」
「......っ、好きに、しろよ」

くち、くち、といつもより控えめな水音が、保健室に響く。
まるで本当に秘密の行為に及んでいるみたいで、なんだか興奮してしまうのは不可抗力。
右肩にのしかかる少しの重みと、自由を奪われた艶かしい身体。
組み敷いている彼(33)の格好は、学生服。
なんか、ほんとにこれやってることエグいな。

「んんッ、ふ...ゃ...」
「......なんか、やばいな。俺らの絵面」
「...今更、かよ...ッ、この変態」
「いや、ふと我に帰ってしまった」
「ッ、そんなところで帰るな...! 恥ずかしいからさっさとやれよ!」
「う、うん...はい...。この体勢、めちゃキスしにくいな」
「むり、だろ...しなくていいよ別に」
「えー、でもうらさん、ほぐしてるときチューしないと機嫌悪くなるやん」
「お前は本当余計なこと言うよな...! ッん...」

変な体制になったけど、無理矢理唇を塞いだ。
うらさんの小さな口が、そろそろと開く。俺の舌を迎え入れたいという、いつも素直じゃない彼には珍しい意思表示。

「......ん、べろ出して」
「......っ、んぇ、」
「そう、上手...ん、」
「っえ、ぇう、うぅ」

ぢゅうう、と音が鳴るくらい強く吸うと、細い身体は面白いくらい跳ねて、ナカがきゅうっと切なそうに指を締め付けた。
......そろそろ、食べごろかも。
くちくちとわざと音を立てながら、彼の中を掻き回した。
もうすぐ入っちゃうくらい解れてるけど、いっぱい意地悪したくなるのは男の性。

「っあ、あっ、ぁ、うぅ...」
「...高橋くん、今、これ何本入ってるかわかる?」
「ッ、わか、んない...」
「わかりません、やろ。てか、ほんまにわからんの?
いつもの感覚でわからん?」
「そ、んなの...ッ! お前に触られると、いつも、へんになるから...おぼえてらんねぇよ...!」
「ッ.........うらさん、煽ってる?」
「だれが!!!わざわざ!!!煽るかよ!!!」
「うそぉん......」

ああ、この人はそういう人やった。
わざと煽ってるときより、わざと可愛こぶってるときより、ずっとずーっと、普通にしてるときに天然で炸裂する仕草の方が可愛い、そんな不思議な人。

すうっと、自分の中で、何かが静かに弾けたような感覚がした。

「...うらさんは、ほんまに可愛いなぁ」
「......っえ、なに? こんな時にしみじみそんなこと言うな」
「いや、独り言やから気にしないで。......脱がすよ」
「っ、うわ」

うらさんの足の自由を奪っていた黒スラックスをベタベタな手で取り去り、ベッドの外に放り投げた。
どうせ買い取ったんや。雑に扱ったっていい。

「......ふぅ、」
「...ッ、」

自分のスラックスの前を開き、膨らみ切った息子を取り出す。
彼の喉が、ひくり、と期待に震えたのが見えた。
どこか怯えたような、それでいて、俺に入られるのを心待ちにしているような、そんな顔。
嗜虐心が湧き上がってくる。
この人を大切にしたい気持ちと、ぐちゃぐちゃになるまで蹂躙したい気持ちとが、渦巻いていく。

「......さかた...? ッア、ゃ...!」

彼の薄い下生えからピン、とそり立つ、彼自身の雄をそっと握り込んだ。
先端から蜜を零し続けるそれは、予期せぬ快感に驚いたように震え、脈打つ。

「っあ、やだ、やだっ、でる、むり...ッ!」
「......きもちい?」
「ぅ、きもちぃ、だめ、すぐでちゃうから、だめ...」
「......そう」
「っひ、やぁぁ...ッ...!」

くちくちくち、と親指で鈴口を撫でると、堰を切ったように先走りが溢れ出した。
ああ、この人のコレは、もう誰の中にも入らない。
どんな女だって抱けない。だって、俺がそういう身体にした。
制服も相まって、ひどく幼く見える彼の姿は、まるで本当に何も知らない子供みたいで。
まるで、俺しか知らない身体のように見えて。

「なに、なんだよ、おまえ、きょう、ヘンっ...!」
「......ん? そう?」
「っ、そうだよ、なんか、なんか...」
「......なんか、なぁに?」

口籠る彼を他所に、コンドームの袋を破って、自分のものに着けていった。
俺の手についた彼の蜜で、無機質なゴムが濡れていく。
それにすら、ひどく興奮した。

「......なん、か...、こわい...」

「......はは」

そうだね、俺も怖いよ。
白い手首を、俺色の赤いネクタイが締め付けているのにも。
30代も半ばの恋人の、本来ならキツイはずの学ラン姿にも。
いつも俺の先で手を引いてくれるあなたの自由を奪って、こうして跨がって、今から犯そうとしていることにも。

全部、全部、興奮してたまらない、自分が怖い。

「......高橋」
「...ッ、まだそれ、やってんのかよ」
「......高橋渉って、いい名前よね」
「...はぁ?」

ひたり、と張り詰めたものを彼の後孔にくっつける。
びくっと震えたけれど、十分柔らかくした、慣れきったそこは、もういつでも俺を迎え入れられる準備ができている。

「...渉」
「......へ、」
「うらさんが、『うらさん』になる前は...ずっと、渉くんだったんよね。こういう、学生服とか着てる時は」
「はぁ!? ...そ、れ...いま言うことかよ...!」
「んー? なんでやろな。なんか、言いたくなってん」

高橋渉がうらたぬきにならなければ、今俺の目の前にいない。
学生服を着ていたうらさんは、うらさんではなくて、俺の恋人ではなくて。
当たり前のことなのに、俺の知らないうらさんがいたことに、少しだけ心がざわつく。
いつの間に俺は、こんなに心の狭い人間になったんだろう。

「今から抱くで、渉」

きっとうらさんのせいだから、今日はこのまま、流されてくれないかな。

――――――――

♣︎

坂田とのエッチは、もう、俺が人生で経験してきた回数を遥かに超えてしまっている。
なんて話をすると、少し生々しいだろうか。

「......っあ、ぁッ、ぁっ、あ...!」
「はぁ...ッ、ほら、わたる。わかる? ここ、俺の一番太いとこ、今ここに来とるよ」
「っ、わかんなっ、わかんない...っひ、ぎ、ぁあ...っ!」

人生って本当に不思議なものだ。
お互い女性を恋愛対象として生まれて、それなりに女性に恋をして生きてきて。
職業は......まあ、平凡ではないけれど、それぞれ平々凡々に育ってきて。
それなのに、そのはずなのに。
巡り巡って出会った俺たちは、30も半ばになって、ライブ帰りに男同士で身体を繋げて、ほんと、何してんだろうな。

「......うらさん、ねぇ、集中して」
「っ、ァ...! してる、してるってぇ...!」

ああ、なんだこいつ。なにちょっと拗ねてんだよ。ムカつくな。可愛いな。
馬鹿みたい。33の男の身体に欲情して、33の男のコスプレに興奮して、腰振ってる。
でも俺も一緒。31の男のコスプレにドキドキしっぱなしで、感じる筈のないところでヨがって、もう男としては生きていけなくて。
ああ、俺の人生、お前にめちゃくちゃにされちゃったよ。
どうしてくれるんだ。お前、俺のこと絶対捨てるなよ。
お前に抱かれなくなったら、おれ死んじゃうかも。

「......っ、ぁ、あん、ふふ、さかた、さかたッ...」
「なぁに、高橋くん。もっとはやくしていい?」
「んっ、んっ...いい、して、していいけど、これ、取って...」
「えー、ネクタイ取るん? っ、かわいい、のに」
「っやだ、ぎゅう、ぎゅうする......手、いたいんだもん」
「ふふ、ぎゅうやって。かわいいね......っ、取ったるわ」
「......っ、はぁ、ん、んッ...は、さかた、こっち、きて......ッ」
「ん。はい、ぎゅー。って、動けらんやんこれ」
「ん、んぅ......っ、だめ、ね、せんせぇ、だめ」

筋力には坂田より自信がある。
坂田の腰をぎゅうって脚で巻き込んで、がっしりした首を両腕で抱き抱えた。
びっしょり濡れた、俺より一回り大きな身体が、ずしっと全部俺の上にのしかかる。

「っ、あんなに呼ぶの渋ってたのに! ずるい!」
「くふふ......ッ、せんせい、さかた、全部俺ん中入ってる......?」
「はいっとるよ。全部、うらさんのおしりん中入ってる」
「くく、うごきたい?」
「...うごきたい」
「っふ、だめ。きゅうけい」
「......どっか、痛い?」

少し顔を上げて、さかたが俺のことを心配そうに見つめてきた。
ああもう、やさしい。すき。だいすきだ。
エッチの最中ちょっと怖いときだって、坂田はいつだって、こんなふうにずっと優しい。

「...いたくない。っ、ふ、坂田に、我慢させたかっただけ」
「......あら、いけない子やな」
「...おれ、どうされちゃうの?」
「いーっぱいいじめちゃう」
「くく、体罰だ。......ッ、ぁ、ゃ、ふかぃっ...!」
「おらおら、ここがええんやろ高橋」
「っ、高橋やめろ、なえるっ...! っあ、ゃ、あんっ...あっ、あっ、あっ、あッ、」

大きな質量の熱が、何度も奥に叩き込むように抽送を繰り返す。
このかたまりは、俺の悦ばせ方を俺より知ってしまっている。俺の内臓の、俺でも知らないところを、何度も教え込むように撫でていくから。

「ここ、すき?」
「っすき、すき、だめ、だめだめ、ぁっ、ぁ、やだ、おっきい、おっきぃ...」
「ははッ、じゃあうらさんが、ぎゅーってして、小さくして...ッ?」
「ッ、ぁ、あ、あんっ、あ、ぁ〜〜〜ッ」

一番奥まで入られて、がくがくがくって塗り込むように揺さぶられる。
これ、すき。自分が自分じゃなくなるみたいに、ふわふわして、勝手にがくがくして、もう坂田が好きってことしかわかんなくなれちゃうから。
俺にないはずの器官が、坂田の証を欲しがって、きゅう、と切なく痙攣する。

カーテンに囲まれたベッド。
硬いスプリング。

「ゔっ、ぁっ、ぁあ、あぅ、ぁっ、あン、」
「......ッ、はぁ、は...っ、あ゛ー......、きもちええ...」

見慣れない白衣が、視界の端で邪魔そうに揺れるのがおかしかった。
暑がりなのに、脱いじゃえばいいのに。かわいそう。
いつもと全く違う光景で、必死に腰を振る男だけが同じ。
愛しくてたまらなくて、びちゃびちゃの背中をかき抱いた。
こいつは、俺の。今、おれだけのもの。誰にも渡さない、俺を世界で一番きもちよくしてくれる人。

「......ッね、先生って......呼んで」
「っさかた、さかっ、さかた、すき、ぃく、いく、」
「んふふ、とんじゃった? せんせい、やで」
「せ、んせッ、せんせい...っ、もっと、もっと、ァっ、あ、あ、あ...ッ...!」
「んふふ、よしよし、っえらいね。きもちぃな。いっちゃう?」
「ぃ、く、いきたい、いく、さかた、っあ、いっしょに、さかた...ッ...!」
「っは、はぁ......っあー、あかん、出そ...。ねぇ、はやくしてええ?」
「っひゃ、ぁ! ぁっ、ア、あっ、あっ、あ゛ぁ〜ッ...!!」

潰れたカエルみたいな、自分では聞いてらんないような声が出る。
坂田がぐっ、ぐっ、って腰を進めるたび、壊れたオモチャみたいにこの声が出ちゃう。
恥ずかしくて、でも、さかたがこの声好きだって言うから、出していいんだって教えてくれたから。

「...ッ、ぁー、でる、いくよ、だすよ......ッ」
「っ、きて、さかッ、きて、おれのなか、っあ、だして、だして...ッ...!」
「ふふ、かぁわいい...ッ...! っ、く...」
「っあ、ぁ、あぁ、あああああっ、ぁ、あ_____ッ...! せんせ、せんせぃ......ッ...!ぁぁあッ...!!!」
「......ッ、わたる、わたる...!」

最後の一押しで視界が真っ白になって、チカチカ瞬いた。
びくん、びくん、と、俺の中に埋まったかわいい塊が、一際大きく脈打つ。
ゴム越しに、塗り込まれるように、ぐっ、ぐっ、と圧が加わる。

「っは、ぁ、はぁ......ぁん、ぁ、ぁ...ぁ、あ...」
「......ふぅ......ッ、うらさん、うらさん...っ...」
「っぁ、ぁあ、あ......ん...」
「......ふふ、まだいってる。可愛い.........は...ッ...」

絶頂の余韻が抜けていかない。
あたまのてっぺんから足の先まで、ぜんぶさかたに可愛がられたあとの俺は、もうどうしようもなくなってしまう。
ずる、と俺の中から出ていってしまう熱に、きゅう、と腹の奥が疼いた。

「......ッ、あ、さかた、さかた......」
「...ん? どうしたん?」
「......ん、んっ...」

ふわふわした意識のまま、坂田の手を引いてくっついた。
ああ、まだ、どきどきが治まらない。

「......また、ツーマン、しよう」

ああ、俺は今日こいつに、これが言いたかったんだ。
お前と歌いたい曲がいっぱいあるから。
お前のことをステージの上で独り占めできたあの時間が、あまりに幸せだったから。
坂田が、まんまるな目をきゅうって、優しく細めて笑う。
俺の頭を、世界一優しい手のひらが撫でていく。
まるで本当に年上みたいで、笑ってしまう。

「......っ、うん。しようね。ありがとう」

こんなに浮ついちゃって、こんな変なラブホなんてきちゃったの、絶対今日のライブのせいだ。
全部、ツーマンが、楽しかったせいだ。ああもう、本当にあたまわるい。
どうしようもなく高まってしまった。熱が、まだふわふわして出ていかない。

坂田は暑そうに白衣を脱ぎ捨てて裸になって、俺の隣に横になった。

「...ねえ、2回目しないの?」
「ふふ、してええの?」
「......ダメ。明日、動けなくなる」
「そっかぁ、ここラブホやもんなぁ。じゃあ、またこんどお家でえっちしよう」

坂田が俺の頭を優しく持ち上げて、腕を滑り込ませるように抱き込んでくれた。
腕枕だ。いつも腕痺れるからってやってくれないのに。

「...家でも、これ着んのか」
「趣味でこれ着てたらド変態やんか。うらさんは着たいの? 学ラン」
「ふふ、ぜってーやだ」
「ほらぁ、着ないやんか」
「んー、ふふふ......」
「ぐぇ。なぁに? 甘えた?」
「くくく、さかたせんせぇ」
「やめてやぁ、もう...まだ言うてんの〜?」
「ふふ、今度はお前が学ラン着ろよ」
「うらさんのやつキツいって」
「ふはは、ころす」
「うお痛ァ! もぉー、つままないでぇ〜」

終わった後、肌と肌を触れ合わせるだけで睦み合う。
これは歳を重ねてわかった。セックスって、入れてる時だけじゃなくて、こういう時間が大切なんだと思う。
坂田に優しく髪を梳かれて、瞼がゆっくり落ちてくる。
ああ、このまま、優しいこいつの腕の中で、落ちて...

___ピリリリリリリリリリリリ!!!!!

「うおわぁっっっっ!?!?」
「ふぇっ!?」

突然、景観(?)を損なわないように部屋の隅に置かれた固定電話が、けたたましく鳴り響いた。
横たわっていた坂田が飛び起きて、全裸のまま電話機へ向かう。

「......っはい! はい、あー、はい、え、さっきフリータイムで............え、あれ、うそ、ほんまですか.........ぁ、え、にじかん、え、ここ、プラン二時間までしか、ないんですか...?」

......猛烈に嫌な予感がする。
俺は痛む腰をなんとか持ち上げて、身体を起こした。

「......はい、はい..................はいー......」
「..................」

ガチャリと、無機質な音が鳴る。
こちら側から坂田のケツしか見えないのが、笑えないくらいシュールだった。

「............うらさん」
「............」

坂田が、悟りきったような爽やかな笑顔で向き直る。
白衣を脱ぎ捨てた恋人は、全裸のまま、俺に向かって親指を立てた。

「......あと5分で、出るで!!!!」
「あーーーーーーー!!! もーーーー!! バカァ!!!!」

ライブとセックスの筋肉痛で悶えながら、脱ぎ散らかした制服と白衣と私服とをまとめて、カバンに入らなくて叫んで。
俺と坂田は、逃げるようにマニアックなラブホを後にしたのであった。

「......もう、ライブ後のノリでラブホなんて絶対いかない......!!!」
「この学ランと白衣、どうすんねん......」
「うわっ汚ねぇこれお前が持って帰れ!!」
「絶対嫌や!! もう捨てて帰ろう!」
「あーーーーーーもう!!」
「ほんっっっとに!!!」

「「どうかしてた!!!!!」」

おわれ

作者Twitter...@patopato_ota
最高の表紙・裏表紙・原案...らてさん

Bạn đang đọc truyện trên: Truyen2U.Top

#kntrtmemo